「ガロン」は、2007年12月に結成された市川裕司、大浦雅臣、金子朋樹、小金沢智、佐藤裕一郎の5名からなる構成される作家グループです。(発起人は金子朋樹、グループの命名は小金沢智。)市川裕司、大浦雅臣、金子朋樹、佐藤裕一郎、松永龍太郎は日本画を出自とし、また小金沢智は日本美術史研究、美術評論を専門としています。「日本の伝統的絵画を出自としている私たちに提示出来るものは何か」という思いから作家主体の自主企画として2007年に発程しました。日本の伝統的絵画の文脈を通じて得られたものを、私たちの世代が歩んできた時代背景を通して表現及び発表というかたちで昇華することを目的としています。
ガロンという名前の由来は、容積の単位“ガロン”と絵画理論としての“画論”をかけて合わせています。
たった一つの理念(画論)を追い求めるのではなくて、それらが液体のように混ざりあうことでグループ展でしかできない場を作ることを目指す、多くの理念の集合体としてのグループを目指すという意味を込めています。
展覧会では、2010年6月に、寛文10年(1670年)に創建された東京都港区白金台三丁目にある禅宗寺院「瑞聖寺(ずいしょうじ)」寺院内にて「ガロン第1回展」、2012年2月に埼玉県川口市所在の旧田中家住宅(国登録有形文化財)にて「ガロン第2回展 『日本背景』」を開催しました。
ガロン緒言
いつの時代も社会の情勢は日々目まぐるしく動いていく。国内では原発の問題が毎日のように報道され、このような時代の中にあってもなお震災、天災などの不条理にも思える報道は多い。その社会の中で、我々の表現はどのような機能を担うことが出来るのだろうか。
我々は社会というネットワークの中で孤立した孤高の表現を求めつつ、またそのネットワークの中で自分を据え置き、その中の一部として制作活動をしながら新しい表現の価値を求めている。その反復運動の中で表現の動機と自己の立ち位置を探っている。現在の自己がどのような立ち位置に在るのか、美術を手段とする表現は自己や他者にとってどのような意味を持つのか、日々思い巡らせながら作品と対峙している。
自己は他者によって見出され、他者は自己によって支えられる。その自己と他者が集まるからこそ出来ることがあると信じる。止むに止まれず創るというこの初期衝動を、其々が歩んできた文脈と背景を通した表現で昇華し、一集合体として美術と社会への問い掛けとなる現場を生み出していくことを目的とすべく、我々はグループを立ち上げた。
ガロンは提言の場であり、実践の場である。企画趣旨を第一とする展覧会は様々な形式を帯びてくるだろう。描き手、造り手である我々は作品を創り、そして会場を選択して場を創り、観る側に伝えるという全て自主運営の中で提示方法を模索しながら、協働理念の集合体を目指したい。そして、日本の伝統的絵画の文脈を通じて得られたものを、私たちの世代が歩んできた時代背景を通して表現及び発表というかたちで昇華することを目的としたい。
それでもなお、我々は自己の表現の追求にも邁進しなければならない。作家は常に作品で語るべきであるからだ。しかし、これらは決して市場等から距離を置くということではない。美術の本質的な部分を見つめて行動し、他者との関わりにおいて一風景として成立する場を生み出すことを主義とするという表明である。
ガロンはグループであり、個の集合体である。“現在”に生きて表現を行う我々だからこそ、日本の伝統的絵画を出自としている我々だからこそ提示できることがあるのではないだろうか。
時代及び社会の中で、美術は常に動いている。だからこそ我々は、我々の在り方を模索し、行動する。
■ ガロン第2回展 「日本背景」
2012年2月14日(火)〜3月18日(日)
出品作家|市川裕司、大浦雅臣、金子朋樹、佐藤裕一郎 、松永龍太郎
ゲスト |金理有(陶芸)、後藤雅樹(鋳金)、前川多仁(染織) 、山本麻璃絵(木彫)
企画/小金沢智
会場/旧田中家住宅 (国登録有形文化財)
主催/川口市 ガロン実行委員会
後援/川口市教育委員会 公益財団法人佐藤国際文化育英財団・佐藤美術館
協賛/埼玉画廊、川口市華道連盟、箏和会、筥﨑山地蔵院、富士山西光寺、花岡神仏具店、NPO法人川口フィンランド協会、
サンルイ皮ふ科高田任康様、宍倉慶治様、小谷三夫様、奥田道子様、千葉乙郎様
協力/ギャラリー58 gallery neutron
認定/公益社団法人 企業メセナ協議会
ガロン第2回展 「日本背景」 記録映像
ガロン第2回展 「日本背景」の映像をYouTubeでご覧になれます。